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第十六話 交わらない体温

Author: 白蛇
last update publish date: 2026-07-20 17:02:02

 傾きかけた午後の陽光が、流れる車窓を白く飛ばしていく。

 後部座席に山のように積まれたブランド品の紙袋が、車の揺れに合わせてかすかに擦れる音を立てていた。

 助手席に座っていた凜りんは、長時間の試着と極度の緊張によって、精神的にも肉体的にも疲労の限界を迎えていた。

 アイスブルーのシルクのワンピースは肌触りがいいはずなのに、今は見えない鎖のように身体を重く締め付けている。

 新品のパンプスの中で、熱を持って浮腫むくんだ足を揉みほぐす。

――早く、帰りたい。

 無機質で冷たい、あのタワーマンション。それでも、今はあのキングサイズのベッドに身を投げ出したかった。

 シートに深く身体を沈め、半ば放心しながら窓の外の景色を眺める。

 しかし、流れていく街並みに、凜はふと違和感を覚えた。

 六本木へ向かうはずの車は、まったく違う方角を走っている。

「あの……」

 思わず声が漏れた。

「なんだ」

 前を向い
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